クローズで放った柳楽優弥の異端の狂気!強羅徹が伝説となった理由
クローズ 柳楽 優 弥という強烈な組み合わせが、いま再び熱心な映画ファンの間で鮮烈な議論を巻き起こしている。高橋ヒロシが生み出した伝説的不良漫画の世界観を実写化した『クローズZERO』シリーズの熱狂を受け継ぎ、2014年に公開された映画『クローズEXPLODE』。公開から長い歳月が流れた現在も、本作でひときわ異彩を放った男の姿は観客の脳裏に焼きついて離れない。鈴蘭男子高校の頂点に最も近いと目されながら、誰とも群れず、ただ己の破壊衝動と虚無を抱えて佇んでいた孤高の怪物・強羅徹である。
興行的な大ヒットを記録した前二作の熱気とは一線を画し、豊田利晃監督がメガホンをとった本作はより重厚で乾いた空気を纏っていた。そのフィルムの芯となり、スクリーン越しに観客を圧倒したクローズ 柳楽 優 弥の怪演は、単なるヤンキーアクション映画の枠組みを根底から揺さぶるものだった。十代でカンヌ国際映画祭の主演男優賞を射止めた天性の才能が、鈴蘭という暴力のるつぼで何を表現しようとしていたのか。当時の撮影背景や役作りの裏側を含め、その凄まじい足跡を深く掘り下げていく。
頂点に君臨した「強羅徹」の狂気と圧倒的存在感
強羅徹というキャラクターは、従来の学園抗争劇に登場する典型的な番長像とはまったく異なっていた。大軍を率いて鬨の声をあげるわけでもなく、仲間と肩を組んで友情を確かめ合うこともしない。黒いロングコートを翻し、無駄口を一切叩かず、ただ邪魔する者を冷徹に薙ぎ倒していく。その拳には怒りよりも深い諦念と、どこか自暴自棄な破壊の匂いが漂っていた。
柳楽優弥が吹き込んだのは、言葉による説明を拒絶した身体性そのものの説得力だ。相手を見据える据わった眼光、一瞬で間合いを詰める獰猛なフットワーク、そして何より感情の読めない不気味な静けさ。東宝配給のメジャー作品でありながら、インディペンデント映画の危険な刃のような緊張感を放ち続けた彼の佇まいは、鈴蘭の「頂点(テッペン)」という言葉に底知れない重みを与えていた。
豊田利晃監督の美学と現場での知られざる撮影秘話
『青い春』や『ナイン・ソウルズ』などで日本映画界に独自の美学を打ち立ててきた豊田利晃監督の現場は、役者たちにとって極限の集中力を求められる空間だった。強羅徹という人物の造形にあたり、監督と柳楽の間で交わされたのは細かな段取りの確認ではなく、「そこにどう立つか」という空気感の共有だったという。過度な感情表現を削ぎ落とし、ただ佇まいだけで観客を威圧するミニマリズムの極致。それが演出の基本方針となった。
徹底したリアリズムを追求した肉弾戦の撮影では、役者陣が痣だらけになりながら泥臭いアクションに挑んだ。柳楽は当時、身体を極限まで絞り込み、ボクシング仕込みの鋭利なパンチと鋭い身のこなしを現場に持ち込んだ。カメラが回っていない時間でも強羅の孤高のオーラを崩さず、共演陣に対しても一定の距離を保ちながら張り詰めた空気を維持していたというエピソードは、彼の役に懸ける純度の高さを物語っている。
東出昌大演じる鏑木との対比が産み落とした化学反応
本作のドラマ構造を強固なものにしたのは、主演を務めた東出昌大演じる鏑木旋風と、強羅徹との鮮烈な対比である。鏑木が過去の傷を抱えながらどこか戦いを避けようとする受動的な主人公であったのに対し、強羅は最初から修羅の道を歩むことを宿命づけられた絶対的な壁として配置されていた。
光と影、受容と拒絶。ふたつの強大な個性がぶつかり合う瞬間、劇場のスクリーンには火花が散るような緊張感が満ちた。鏑木のストイックな静けさと、強羅の内側に渦巻く暴力衝動。互いに妥協を許さない演技プランが激突したことで、クライマックスへ向かう物語の推進力は一気に加速していった。東出の長身から繰り出される重量感あるアクションと、柳楽の野性的な俊敏さが織りなす乱闘シーンは、シリーズ屈指の緊張感を誇る名場面として語り継がれている。
スターダストプロモーションが生んだ唯一無二の表現力
大手芸能事務所スターダストプロモーションに所属し、若くして国際的な名声を得た柳楽優弥のキャリアは、決して平坦な道ばかりではなかった。栄光と挫折、そして再起の過程で培われた人間としての陰影が、この強羅徹という役柄に唯一無二の深みを与えているのは間違いない。ただ格好いいだけの不良を演じるのではなく、人間の業や孤独を生々しく体現できる役者は、同世代を見渡しても極めて稀である。
後年のドラマ『ゆとりですがなにか』での破天荒な青年役や、Disney+配信のサスペンス大作『ガンニバル』で見せた狂気的な警察官役など、彼の代表作へと続く道筋には常に「暴力と哀愁」の共存があった。『クローズEXPLODE』で見せたあの怪演は、彼が本格的な実力派俳優として覚醒していく過渡期に放たれた、決定的な閃光だったと言える。
NetflixやU-NEXTで観る『クローズEXPLODE』最新配信状況
現在、本作をもう一度観直したい、あるいは強羅徹の伝説的なアクションを初めて体感したいという映画ファンに向けて、国内の主要動画配信サービスでの取り扱いが充実している。それぞれのプラットフォームごとの配信状況を押さえておきたい。
U-NEXTでは本作をはじめとするシリーズ関連作が安定して見放題ラインナップに並んでおり、高画質で迫力のアクションを堪能できる。Amazon Prime Videoでも定期的に見放題対象となるほか、レンタル配信により手軽に視聴が可能だ。一方、Netflixでは国内アクション映画の特集時期やラインナップ更新に伴って配信されるケースが多く、契約状況に応じて最適なプラットフォームを選択できる環境が整っている。まだ観ていないファンはもちろん、柳楽の近年の活躍から彼の過去作に興味を持った映画好きにとっても、いま改めてアクセスしやすい絶好のタイミングだ。
ヤンキーアクション映画の枠を超えたカルト的人気の真相
公開当初こそ、前作までのエンターテインメント路線を期待した観客の間で賛否が分かれた『クローズEXPLODE』だが、時を経るごとにその評価はむしろ高まりを見せている。ロックバンドの重低音を効かせたスタイリッシュな劇伴、フィルムノワールを彷彿とさせる陰鬱なロケーション、そしてキャラクターたちが発する純度の高い刹那的なエネルギー。これらが複合的に絡み合い、本作を単なる漫画の実写化にとどまらないカルト的な傑作へと押し上げた。
その中心にいたのが、紛れもなく柳楽優弥だった。彼が強羅徹として遺した足跡は、観る者の心に痛烈な爪痕を残し、日本映画史における不良アクションの系譜に独自の金字塔を打ち立てた。時代が移り変わろうとも、スクリーンの中で冷たく笑うあの孤高の怪物の輝きは、決して色褪せることはない。 (出典: クローズ 柳楽 優 弥(Yahoo!ニュース))